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第八話 雪降る約束 、君の手は冷たくて

ผู้เขียน: 桜 こころ🌸
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-07 17:43:12

【二〇一五年 杏】

 公園に着くと、ベンチに座っている修司が顔を上げた。

 優しい笑みを浮かべ、そっと手を振ってくれる。

 私は、彼の姿にほっとしながら、乱れた息を整え微笑み返した。

 走ってきたせいで白い息が何度も吐き出され、ふっと目の前が白くかすむ。

 その一瞬、修司の姿が見えなくなった。

 季節はすっかり冬になり、今は十二月の中旬。

 あの事件から、もう二か月が過ぎていた。

「お待たせ。寒いのに……ごめんね。待った?」

 そう問いかけながら、私は足早に修司のもとへ駆け寄る。

 彼の前に立つと、ふわりと笑みが返ってくる。

「ううん、大丈夫。杏に会えたから、寒いのなんか吹っ飛んだよ」

 修司の顔がいつもより青い気がする。

 私はそっと彼の手に自分の手を重ねた。すると氷のような冷たさに驚く。

「もしかして、けっこう前からここにいたの?」

「ん? いやあ……君に電話しようか、どうしようか迷ってたら、時間経っちゃってさ」

 へへっと照れ笑いする修司を見て、私は思わず彼を抱きしめていた。

 電話をする前に、どれだけ迷って、悩んで……。

 そんな彼の姿を思い浮かべると、胸がじんわりと温かくなる。

 彼の言葉や仕草、一つ一つが、今の私にはたまらなく愛おしかった。

 冷たい空気に体は震えるけれど、心だけは静かに温まっていくのを感じる。

 この公園は少し寂れた場所で、普段から人影はほとんど見かけない。

 だからこそ、ふたりで静かに過ごすには、ちょうどいい場所だった。

 今日は、ひときわ静かだった。

 まだ夕方なのに、寒さのせいか、公園には誰の姿も見当たらない。

 今季一番の冷え込みだと天気予報が言っていたことを思い出す。

 空は厚い雲に覆われ、今にも雪が降り出しそうな色をしていた。

「ね、どこか暖かいところに行こう?」

 私は修司の体調を気にして声をかける。

「うん。温かい飲み物

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ความคิดเห็น (1)
goodnovel comment avatar
憮然野郎
もう帰っちゃうの?とは言わず、 杏の家族の事まで気遣う修司、本当に優しいですね🥹... だからこそ、杏、今この瞬間、本当に切ないでしょうね...
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